Jun 12th, 2006

book :: ガープの世界

この土日、ほとんどおうちで過ごしておりました。
何をしていたかというとその半分くらいは本を読んでたり。
東京の古本屋さんで買った“ガープの世界”、ずっとちまちま仕事の休憩時間とか電車待ってる間とかに読んでたんだけど、つい、上巻があと少しで読み終えちゃうのでキリよく読みきってしまおうと思ったら…下巻まで読みきってしまいました。あーもったいない!500頁。ばかだ…。

アーヴィングはちょうどこの間“熊を放つ”を再読し終えたところだったのです。むかし読んだときよりも興味深く感じたので、本屋さんでこの“ガープの世界”を見つけたときにはためらわずに手に取ったのでした。
“熊を放つ”は村上春樹が訳していたんですが、アーヴィングを日本では早いうちに見つけたひとだけあって波長が合うんだろうな、村上春樹本人の著作と同じにおいがしました。あたしが村上春樹の長編小説に限っては昔のものしか読んでいなかったせいもあるかもだけど。(エッセイと翻訳は読むんだけど、長編はずっと“読むと浮上するのに時間がかかる”という乙女だった頃?の呪縛があってさ。こないだどうやら平気っぽいということが分かったのでまた読もうと思ってるところ。彼の旅本は好きだし、彼が翻訳した本で今のところハズレはないのよね。)
で、この“ガープの世界”、先に“熊を放つ”を読み直しててよかった。と思いました。“熊を放つ”じゃなくてもいいのかも。とにかく彼の他の本を知ってて読んだほうが絶対面白いのよ。

この本の主人公“ガープ”は小説家で、その一生を追ったメロドラマ的小説なんだけど、ガープとアーヴィング本人、またガープの書いた小説とアーヴィングの書いた小説とが符号する部分が多くて(もちろんそれは本人の狙いなんだろうけど)、例えばガープの書いた小説に対する書評で「若きガープ氏は今度も熊のことを書いた」と言わせてるとこなんかまさしくアーヴィング本人のことを揶揄してるとしか言いようがないもんね。アーヴィングは熊好きなんだそうです。
でもってガープに語らせてるガープの文章に対する態度ってきっとアーヴィング本人のものなんだろうなぁと思った。“どうして人は「こっけい」であっても、同時に「真面目」であるということができるのだということが理解できないのだろう?”
“熊を放つ”のときにも数々出てきたシュール過ぎるユーモアとか、(もともとキライじゃないけど)なんとなく理解できたような気がしました。

というわけで、ずーっと前に上巻だけ読んで放置していた(滅多にそうゆうことはないのだ。読みはじめて途中で投げ出したのは過去に二冊。そのうちの一冊は島崎藤村の“夜明け前”。暗すぎてムリでした…。)“ホテル・ニューハンプシャー”を再び読もうと思いました。どうして途中でやめちゃったのか今となっては話のスジすら覚えてないので分からないんだけど。(今ぱらぱらっとページをめくってみたら1ページ目にすでに熊が出てきましたよ。もしや全部の作品に熊出てるのかしらん。“サイダー・ハウス・ルール”には出てた?映画観てないのよね。)

でもってこの本がおすすめかと言うと、んーそうだなぁー…。サリンジャー好きにはおすすめかな。あの人のんよりもずっと物語としてすらっと読めちゃいますがなんとなく底が似てると思うのね。
って…いつの間にライ麦畑、村上春樹が訳してたの?うわぁ、読みたい!

あ、そうそう、村上春樹の“ノルウェイの森”の中で永沢が言ってた‘死んだ作家しか読まない’ってゆうの、この“ガープの世界”のマイケル・ミルトンが言ってたセリフだったのね。ちょっとニヤリ。

ガープの世界〈上〉 ガープの世界〈上〉
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3 comments


  • 「ガープの世界」、映画からハマって小説買ってまだ読んでない阿呆です。
    もう随分放置しているような気がする。
    これを機に読もうと思います。
    思い出させてくれてありがとう;)

    by えいこ — June 12, 2006 @ 1:51 pm

  • まぁ。映画のほうはうち観てないのです。
    サイダー・ハウス・ルールはいつか観ようと思っているのだけれど。
    “ガープの世界”以外のアーヴィングも併せて読むとより楽しめると思いますよ。ぜひに。 ;)

    by nao i — June 13, 2006 @ 2:06 am

  • Between The Lines Vol.12

    またまた間が開いてしまいましたが、B.T.Lのバックナンバーです。 『ガープの世

    by anonymous — July 30, 2006 @ 3:50 pm


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