Jun 14th, 2007

dvd :: L’ Annulaire

薬指の標本
うちの好きな小川洋子女史原作のフランス映画。
このひとの本は国が特定されていないことが多いからフランス映画になっても違和感はないだろうなぁとは思っていたんだけど、ただあの世界観を映像化するのって難しそうだよなぁと。その辺に興味を感じて借りてみました。
あ、ちなみに、原作では標本技師は弟子丸という名前なので間違いなく日本人。(このひとの本は“姉”とか“おばあさん”とかが多くてはっきりと土地を感じさせることが少ないのだ。同じく映画化された“博士の愛した数式”みたいに日本のプロ野球が出てくるというのも珍しかった。ここ1年読んでないから最近の作品は分からないけど)



ほとんど、映画全編、原作との違い、というかフランスらしい解釈や表現を見つけてなるほどねぇと思って観てました。
あたしの中での主人公は、もっと地味で、人ごみの中では見つけられないような、かと言ってかわいくないわけではないんだけどとりたてて特徴のない女の子というイメージだったので、あら?って感じでした。
服装ももっと地味。足も普通。地味だけどよくみたらかわいいのねって感じの、そんなイメージでした。
標本技師ももっと特徴のない、さよなら言ったとたんに顔を忘れてしまいそうな、そんなひとのイメージでした。(というかそんな風に書いてなかったっけっか?最近読み直してないからはっきりしないけど。そしてそれなのに、何か気になる、ひっかかるものを持っているひとというイメージ。映画のは、あきらかにクセモノっぽいんだもん…)

サイダー工場がレモネード工場になってるとこがまずは“フランス”(笑)。
タイプライターのキーを落とすところが麻雀牌になっているところも“フランス”(フランス的には日本語よりもキー数が少ないタイプライターのキーよりも難解な文字の書かれた麻雀牌のほうが散らばったときの混乱度高いんだろうなぁという想像のもと)
麻雀牌を拾うときに一心不乱に拾い続けてくたくたになる前にぐったり寝転がっちゃうところもフランス的。
あっさり脱がしてあっさりやっちゃうところや、肉欲に走ってるところもフランス的。

あれってうちの中ではどっちかちうと脱がされるだけ、弟子丸氏は白衣のまま、ただ自分のものにしているっていうイメージだったんだよね。やっちまうよりももっと濃厚な精神的SMに近い感じ。タイプライターのキー拾わせるところなんてまさしく。そのほうがエロいとか言うとあたしの趣味疑われますか?(笑)

映画は映画で別の世界としておもしろかったです。
普通に映画化とか言うよりも“フランス版リメイク”みたいなノリで観たほうが原作知ってるひとには楽しめるような、そんな気がしましたです。

by nao :: 00:40 :: dvd/cd/book...

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