Nov 21st, 2007

movie :: ミリキタニの猫

mirikitani.jpg前からちょっと興味あった映画が静岡でも上映されたので行ってきました。
ミリキタニの猫”。

友だちに前、映画館の無料チケットもらってて、ボルベール(帰郷)やカウリスマキ敗者三部作すっかり見逃していたので(そしてもうちょっとすればDVD出るし…)ちょうどよかった。
どうでもいいけど、カウリスマキの名前をいったいいつになったら堂々と言えるようになるんだろう。(いつも「あれ、これで合ってるんだっけ?」って不安になる…)
あ、そういえばボルベールの監督、アルモドバルも時々不安に…ついでにヴェンダースと言いたいのにジャームッシュしか出てこないことはしょっちゅう。名前って難しいよね…。



名前って難しいと言えば、この映画のミリキタニも、最初はほんとに日本人の苗字なのかなー?と疑ってました(笑)。静岡では聞いたことない苗字だったので。“三力谷”と書くんだって分かって、なるほど。映画で広島だって言ってましたね。ググってみたらこの映画関係に混ざって広島の三力谷印房というお店がヒットしました。ああ、やっぱり広島。

さてそんな映画ですが、さらっとミリキタニ氏の生い立ちみたいなのとアーティストであるということ、フライヤーなどで見る猫の絵と氏のピースサインくらいの予備情報で映画観ました。
思っていた以上に日系人であるミリキタニ氏のWWⅡにまつわる部分が大きかった。アーティストであるという部分よりも日系人としての戦争体験の部分が大きかったのは予想外でした。でも、考えてみたらあまり知らない部分でもあったのでいい機会だったと思う。
ちょうど撮影が9.11当時。
9.11の報道を見ながら、ミリキタニ氏がパールハーバー以降、日系人が収容所に入れられた、あれと同じことを繰り返すのか。と言っていたのが印象的でした。そうだったんだ、そうゆうことか…と。

当初は寒空の下、頑なに施しはいらない、アーティストとして絵を買ってくれという姿勢で、またアメリカ政府に対する不信の塊だった彼が、監督のうちに居を移して、少しずつ誤解だった部分を知ったり、受け入れていって変化していく姿にほっとしました。
多分、戦争当時の辛い記憶は消えないだろうし、政府が間違いを犯したことって許しがたいものはある。これはアメリカも日本も、どの国でも。そのことを知らしめることは大事だけど、そのことに囚われて過去の中で生きていたら幸せにはなれないんだよね。

ダウンジャケット着て韓国デリの軒先で凍えながら絵を書いているミリキタニ氏の姿は鬼気迫るアーティストらしさを感じさせるけど(ホームレスと思っている人が多かったようだけど、そうゆう部分も含めて)、最後にきちんと自分の居場所を見つけてたくさんの友人に囲まれている姿は幸せそうでほんとによかったと思う。

兵役を拒否して再度アメリカへ渡りそのままアメリカから出る事がなかった(映画が出来るまでは)彼はカタコトの英語でどんどんひととコミュニケーション取っていたのに、別々の収容所に入れられて以来離れ離れだった実の姉と電話で話した後、英語がすんなり出てこないで、押し出すように出てくる言葉がみんな日本語になってたのがなんとも心を打たれました。

自身をグランマスター(巨匠)と紹介する姿ってアーティストと言えばアーティストだけど、日本のおじいちゃんでもそうゆうひといるよねーなんて、端々に“日本の元気(かつ頑固)なおじいちゃん”らしさを感じてニヤっとしてしまいました。絵をやたらひとに見せたりあげたりしているあたりも…カワイイです(笑)。
あの猫の絵、欲しいなぁー。

by nao :: 16:27 :: dvd/cd/book...

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